世間というものを何も知らない俺はひとつひとつの出来事がとても楽しかった
行動範囲は徒歩から車に変わり格段に増えたし
行動できる時間も夜中だろうが朝だろうが好きな時間に好きなだけ
使えるお金も格段に増えた
そんななかで世の中を渡っていく方法を教えてくれた先輩がいた
たまたま初めて就職した職場の先輩だ
俺と彼とは相当な時間を一緒に過ごすこととなった
勿論仕事は彼と一緒だったし 夜も彼に連れられ色々なところに顔をだす事になった
彼のお陰で 多分同年代の人の何倍も何十倍もの人と出会い
付き合うこととなったのではないだろうか?
今から思うと本当に凄い勢いだったと思うな
時間は環境を変え人を変えていく残酷なもの
時にはそれは好都合になるんだけど
気づくと付き合いがなくなっていることってあるよね
俺がその職場を離れたのはたった2年後の事である
普通ならそこで付き合いが薄くなるんだろうけど
俺と彼の間は違った・・・
確かに職場が違うからいつも一緒ってわけにはいかないが付き合いは続いて行ったんだ
でも・・そんな彼が地元を離れたのは数年後のこと・・
勿論離れた理由も彼の心もすべて知ってのことだ
だから 地元を離れても付き合いは続くと信じていた・・
でも やはり距離は残酷 付き合いは薄れていく・・
そのうち連絡も取れなくなってくる
・・・・・疎遠・・・・・
10年・・15年 経っただろうか・・・・
彼の住んでいる街へライブに出かけることになった
なんとか連絡は付かないか・・
一度・・もう一度・・逢いたい
そんな思いで探したんだ
やっと連絡が付き 電話で話をすることが出来た・・・
俺にも・・彼にも・・その後色々なことがあった お互いにそんな近況を電話で話をしたよ
でも 逢いたい あって話がしたい・・その思いは一層増すことになった
彼はライブ会場に逢いに来てくれると約束してくれた
本当に来てくれるだろうか??
今回もこのライブはみんなを連れて一台の車でのツアー
当然だが自分の1人行動は出来ない
みんなと一緒に行動する中で彼との時間を作るのは難しい
ほんのすこしの時間しか逢えない
そんな事を思いながらのツアーだ
彼の住む街に着いたこと ライブ会場に到着したことをメールする
彼から楽しみに観に行くよと返事が帰ってくる
あぁ 本当に来てくれるんだ 本当に逢えるんだ
心が昂ぶるが メンバーや仲間達の様子も気になる
心ここにあらず
頭のなかは色々なことがグルグル回ってる
ライブ会場は色々な音 リハの音 バンド仲間の笑い声
そんな中 メンバーみんなが落ち着けるようにウロウロ
他のバンドメンバーとの再会
本当にドタバタという言葉で時間が流れている中
呼び出される・・・誰かが呼んでいると・・・
ドアの外には彼がいた・・・
お互いに年は重ねたが同じだ
周りの目など気にならないほど抱き合った
握手した手は離すことが出来なかった・・
彼はライブの前の人間がどんな状態なのかを良く知っている
だからだろう その場では多くの時間は俺に迷惑だと思ったのだろう
また ライブの時間に来るからといって一旦別れた
俺はずっと一緒にいたかったが 彼の配慮に感謝した・・
ライブは始まり 俺の出番が来るまでの1時間程度
これが彼と一緒にいれる時間だった
その時間は俺にとってはとても短い 本当にあっという間の時間だった
彼と一緒に過ごしていた時に使っていたこのベースギター
ボロボロになっているが 彼に見せるととても喜んでくれた
実はこのベースギターは彼が見立ててくれて俺が初めて手にした楽器だからね
そんなことも彼は覚えていてくれた 傷をさすってくれた
そんな一つ一つの行動が全部嬉しかった
彼に伝えた
俺を作ったのはあなたです
今ココにこうやって演奏しに来てること
今まで演奏し続けていること
そしてここで再会できること
すべてがあなたが俺をそう作ったんだよ
と・・・
彼は 大きな事故で右腕が自由に動かせない状態から頑張ってドラムを叩けるようになるまで回復させたと言う
今一緒にやっている友人を連れてきた
これもとても嬉しいことだった
彼もやっぱり続けていてくれたから・・・
彼の環境の中に行きたい 生きたい その思いは日に日に増してくる
今度は1人で彼に逢いに行きたいと思うのだが
帰ってこれる自信が無い
そのまま彼の環境の中に入ってしまいたいからね
彼と一緒に演奏すること それを夢ではなく現実にしたい
絆というのはこういうものなのかな?
俺はいつまで群れの中心に居なければならないんだろうな
今回ほどそんな俺を恨めしく思った事は無いな
